ボーイとして働くことで学べること① 視野が広がる
ボーイとして働く事で学べた事の一つに、視野が広がった事がある。
ずっと水商売の世界には縁がなかったが、ひょんな事からキャバクラの世界に入りボーイとして働く事で「世の中には色んな人がいるのだ」と理解出来た。
お店にはサラリーマンの顧客はもちろん、会社の重役や自営業者、公務員など様々な立場の人たちがやって来て一人の人間としてお酒を飲んでいた。
普段は教壇に立ち生徒を指導する立場の教師も、女の子の目の前でベロンベロンに酔っ払って家族を呼んだ事もある。
また「自称・平凡でうだつの上がらないサラリーマン」の顧客が一度もお店に迷惑を掛ける事無く、キャバ嬢にチップを渡すなどして綺麗なお酒の飲み方をしていたのも記憶にある。
人の知性や品性は、外見や職業からでは全く分からない。
むしろしっかりしているように感じる人物の方が、一度タガが外れるととんでもない騒ぎを起こす事もあった。
人は外見や職業から色んなイメージで見られるが、それはあまり良くない事だと気が付いた。
また起業して成功している人物は、一つ芯の通ったポリシーを持っているものだ。
そのポリシーを崩さずに貫く事が大事だとも教えられた。
② 社会のルールやマナーが身につく
キャバクラで働く前は、あまり社会のツールやマナーには頓着が無かった。
ところがボーイとして働き始めると、挨拶をする、ハキハキした声で返事をする、約束は守る、信頼される仕事をするなど「当たり前の事を当たり前にこなす事」がどれだけ重要かが身に染みて分かった。
先輩であるチーフマネージャーが教育係だったが、かなり躾に厳しい人で最初は怒鳴られる事が多かった。
特に客に頼まれた事を忘れたり、掃除がいい加減だったり挨拶を忘れると、かなり激しく怒られた。
だが今思えば、先輩はボーイとしてというより、社会人として大切な事を教えようとしていたのだと思う。
現在俺は心理カウンセラーとして仕事をしているが、当時教えられた事は今でも忘れられないし自分の中で活きている。
③ 普通に生きていたら知ることができない夜の世界について知ることができる
夜の世界は特殊だ。
昼間は聖人君子のような顔をして生活している人物でも、酒が入れば本音や地が出る。
またキャバ嬢も色んな事情で働いていた。
ブランド品のバッグや洋服が買いたくて仕事をしている女の子がいれば、家族の生活を支えるために働いている女の子もいた。
留学資金を貯めるため、生活のためと色んな理由を聞いた。
しかし結局の所、何が正解で何が間違いなのかは分からなかった。
ただ普通に生きていたら、キャバクラで働く女の子と知り合う事は出来なかったはず。
今付き合っている彼女は、ボーイとして働いたいた当時に知り合った子だ。
ボーイの仕事をしていなかったら、今の彼女と出会う運命は絶対になかったと思う。
こう考えると人と人との繋がりを大事にする大事なボーイの仕事は、そんなに悪いものではない。
キャバクラのボーイと聞くとあまり良いイメージはないが、人脈が広がり新しい出会いが期待出来る仕事なのだ。